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「流転の海」 [読書]

宮本輝さんの「流転の海」。
流転の海.jpg

あまりの長編小説なので、二の足を踏んでいたのですが
時間はたっぷりあるので読み始めました。
これまで読んだ”最”長編小説は、山岡荘八さんが書いた
「徳川家康」 全26巻です。
もうかれこれ40年くらい前でしょうか。

「流転の海」第一部を読んだら面白い。
宮本さんの父親の自伝的な話のようですが、
すぐ話の中に引き込まれてしまいます。
戦後すぐの大阪の雰囲気、戦前の家族関係が色濃く残る
生活がひしひしと伝わってきます。
熊吾が乱暴性をもちながらも、先見の明ややさしさも兼ね備えて
いることで、戦後の世の中が興味深く描かれています。
宮本さんは自分よりも何歳か年上ですが、「泥の河」をはじめ
書いている時代が自分の小さかった頃と近い匂いのする本が多い。

さっそく第二部「地の星」を買ってきて読み始めました。


2022-09-30 11:30  nice!(0)  コメント(0) 

「ふるさと銀河線」 [読書]

高田郁さんの「ふるさと銀河線」
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「あい 永遠に在り」を読んだというのもあって買った本。

短編小説がたくさんありますが、どれも線路にまつわる話。

特に、「返信」や「ふるさと銀河線」は陸別が舞台。
「あい 永遠に在り」を読んだ時もそうだったが、
むしょうに陸別に行きたくなってきました。
日本一寒い町として有名になったが、線路が廃線になったので
一番寒い時期にはなかなか行けないので、そこそこいい季節に行きたい。

この本は人生の応援歌です。


2022-09-13 11:30  nice!(0)  コメント(0) 

「小隊」 [読書]

砂川文次さんが書いた、「小隊」
小隊.jpg

帯にもあるように、ロシア軍が北海道に侵攻してきた、
というストーリーの戦争小説だが、リアル過ぎる。
3つの短編が入っていますが、いずれも描写がうまい。

土や風や自然の音や匂い、車のアンテナだけが揺れている、とか
肉が吹き飛んだ時の匂いとか・・。
中東イラクでの傭兵たちの活動、
自衛隊幹部候補学校のトレーニングの様子なども、
経験がなければ書けない。

最近、元女性自衛官が自衛隊内でのセクハラを訴えたが、
パワハラも含め、そういうことが多い組織なのだろう。
上意下達、上官には逆らえない、組織は密室のようであることを
考えると、その根っこは深い。

「ハラスメントは基本的人権の侵害であり、また自衛隊の精強性を
揺るがす、決してあってはならないことであります」
という浜田防衛相の発言は軽過ぎ。
ハマコーだったらもっと乱暴なことを言っているような気がします。


2022-09-07 15:48  nice!(0)  コメント(0) 

「ブラックボックス」 [読書]

先日本屋さんで見つけた、砂川文次さんの「小隊」を
読んでいたら、ショックを受けました。

砂川さんは今年初めに、「ブラックボックス」で芥川賞を受賞し、
まだ文庫本は出ていないので、図書館で検索して借りてきました。
ブラックボックス.jpg

これもなかなかリアルな本で、コロナやSDGSなどの現代の話を交えて
バイク便(自転車)の配達者(メッセンジャーというらしい)の
仕事をしていて、ムショ暮らしになる・・。
文がリアルで、経験していないと書けないような内容。

そして文藝春秋6月号によれば、砂川さんはウクライナの傭兵募集に
問合せをした、と。
新聞にも載っていましたが、日本政府が日本からの傭兵は認めない、
となって、それはなくなったようですが、
砂川さんという人はそういう人なのかもしれません。

本屋で買った「小隊」に載っていた、「小隊」はロシアが北海道東部に侵略
する、といったストーリーで、ロシアのウクライナ侵略にヒントを得て
書いたのか、と勘違いするほど。
「小隊」は、ロシアの侵攻前に書いています。
「戦場のレビヤタン」も中東に行った傭兵Kがありありと描かれています。

浅田次郎さんも自衛隊経験がありますが、砂川さんは自衛隊の
幹部候補生学校出の下級幹部だったらしい。
書いた作品の文学的な価値はわかりませんが、いずれも衝撃的な
ことを書いている作家です。


2022-09-05 16:02  nice!(0)  コメント(0) 

「あきない世傳 金と銀」大海篇 [読書]

2月と8月に刊行される「あきない世傳 金と銀」の続篇。
続篇というか、今回が最終巻になっていました。
大海篇.jpg

このシリーズは、2017年の2月に1巻目と2巻目を買ってから
半年ごとに買って、5年半にわたって読みました。

毎回のように、いろんな試練が訪れても前進していく。

前に出てきた江戸小紋染めや太物商売など、
見知らぬ世界を教えてくれます。

今回は、王子茶という色や沽券状というものが出てきて、
見知らぬ世界を教えてくれました。
「沽券にかかわる」はここからきているのか。

この本は、読者を江戸時代の中期にいざなってくれます。

今回が最終巻ですが、
特別篇の刊行を考えているとのことで楽しみです。


2022-08-28 10:59  nice!(0)  コメント(0) 

「あい」永遠に在り [読書]

高田郁さんの、「あきない世傳 金と銀」がまだ出ないので
棚を見ていたら、高田郁「あい 永遠に在り」という本がありました。
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あい裏.jpg

読んでみたら面白い。
幕末から明治にわたって医師になった関寛斎の妻あいの話であった。

山桃の木をモチーフとして、あいに重ね合わせる。
プロローグで出てくる山桃と、最終節であいが山桃の木になって
寛斎に抱かれる、というよくできた設定。
食べるのもやっとという時代に苦労の連続や、娘たちを亡くすにも
かかわらず、小さな幸せをみつけて前を向く。

実在した関寛斎という蘭方医師の妻のことが書いてある資料は
少ない、ということだが、いろいろ調査したり、想像で作ったり
してできた本のようですが、すばらしい。

銚子のヤマサ醤油の濱口梧陵の話もいい。
稲むらの火で津波から人々を救った話、
事業で儲けた財を医療などに還元しようとした志、
など、改めて調べてみるとよくわかります。
誰とは書きませんが、日本にもネット商売などで莫大な利益を
得た現代の成金が、少しでも世の中に役に立つような
支援や社会還元をすることはないのだろうか。

戊辰戦争での医療で活躍しても、財や名誉には目もくれない。
寛斎とあいは、老後に子や孫の世話になる道を選ばず、
北海道の開拓の道を選び、半ばで果てる。
日本で最低気温を記録することで有名になった陸別町のHPの
歴史として関寛斎のことが書かれてあり、
街の唯一の医療機関として、関寛斎診療所があるとも書いてあります。

気になったので、山桃をインターネットで調べてみたら
花言葉は「ただ一人を愛す」「一途」。
そういうことで、高田さんは山桃を登場させていたのか・・。
読まないとわかりませんが、史実に想像を加えてできた
本当に良くできた本です。


2022-08-14 14:38  nice!(0)  コメント(0) 

「80歳の壁」 [読書]

テレビや新聞にも出てましたが、和田秀樹さんという方が書いた
「80歳の壁」

妻が読みたいというので買いにいったが、隣に並んでいた
「70歳が老化の分かれ道」というのも次いで買い。
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「80歳の壁」は、
・老いの現実を受け入れていく
・高齢になれば、ガンや認知症は誰でもかかる
・80歳になったらガンの手術はしない
・健康診断の数値に一喜一憂しない
・好きなものを食べて、好きなことをしていく
・肉を食べる、車の運転は続ける
・自分のお金は使う
といったところで、

「70歳が老化の分かれ道」は、
・70代のうちは老化を遅らせるために活動する
・何事も引退しない
(今やっていること、できることをやめない)
・男性ホルモンは大事
・血圧や血糖値の値を気にしない
など、「80歳の壁」と重複するところもありますが
概ね、共感できる内容です。

どちらかの本に、人間の体の細胞は新陳代謝だかで
日々新しくなっているが、唯一古い細胞のままでいるのが
脳の細胞、と書いてありました。
壊れたらそのままということか、なるほど納得。

いずれも、勉強になりました。


2022-07-25 12:04  nice!(0)  コメント(0) 

「信玄 忍法帖」 [読書]

山田風太郎さんの、「信玄 忍法帖」
信玄忍法帖.jpg

信玄が病に倒れてから、3年その死を隠し通せという遺言に
従った家臣と、服部半蔵をはじめとする家康の忍者、
真田家が信玄の家臣だった頃の霧隠才蔵、猿飛佐助など出てきます。

他にも、山本勘助、穴山 梅雪、若き頃の真田昌幸など有名どころがたくさん出てきます。

信玄は、影武者を用意していたことで有名ですが、
6人だったか7人だったかの影武者が徳川の忍者によって
殺されたり、忍者も死んでしまったり。

出てくる忍法がすごい。
とても理解できないような忍術も出てきますが、
それはエンターテイメント小説と割り切って。

山田風太郎さんの本は、ずいぶん前に読んだことがあります。

それは、たぶん「夭説太閤記」です。
読んだのは、今から40年くらい前ですね。
その頃、山岡荘八さんの徳川家康26巻とか、歴史小説を
たくさん読んだことを想い出しました。


2022-07-10 20:28  nice!(0)  コメント(0) 

「太陽の季節」 [読書]

文藝春秋の4月号に、二月に亡くなった石原慎太郎さんの
「太陽の季節」が載っていました。
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この本は、ずいぶん前に読んだ気もしますが、改めて読んでみました。
載っていたのは、その昔に芥川賞受賞時の本をコピーしたように見えます。
まるでPDF化したのを印刷したかのようです。
旧字体を使っているのは当然としても、かすれている字もあります。

それにしても、石原さんの生い立ちありてこの本あり、という感じです。

津川龍哉という主人公と英子が、ボクシング、湘南の海、ヨットなど
と共に描かれています。
最近言われている、親ガチャではありませんが、恵まれた生活を
してきた慎太郎さんでなければ、書けない本かなあという気がします。
龍哉には兄がいますが、この兄弟は石原裕次郎が龍哉で
兄が慎太郎とするとわかりやすい。
時代のおかげというのもあるが、石原兄弟がそれぞれ好きなことを
やってこれたというのはある意味うらやましい。

ともかく、慎太郎は戦前の教育を受けてきたので、旧字体が多い。
ボクシングが拳闘となっているし、旧字体がたくさん出てきます。
周圍、千圓札、番號、傳わる、歡聲などたくさん出てきますが、
文の流れからだいたいはわかるが、一番読めなかったのは、
「巫山戯る」と書いて「ふざける」と読むそうだ。
戦前は遠くになりにけり!


2022-06-24 13:35  nice!(0)  コメント(0) 

「じじばばのるつぼ」 [読書]

本屋さんで少し読んで面白そうなので買ってしまった
群ようこさんの「じじばばのるつぼ」。
じじばばのるつぼ.jpg

20数編のエッセイのように書かれていますが、
本屋さんで読んで面白かったのは1つ。
”ばばと乳首”と言う話で、これは思わず、あるある!
という感じでしたが、買ってきて
電車の中で読んだら、他の話はさほど面白くない。
まあ、こういうこともあるって、こと。

もう一冊、新聞広告で面白そうにみえた
津田左右吉さんの「明治維新の研究」。
明治維新の研究.jpg

買うにはなんなので、図書館で予約して2か月くらい待って
順番がまわってきて借りてきました。
ちょっと素人が読むには重た過ぎる。
とうに亡くられた津田左右吉さんは、明治維新の関係者が
生きてた時代を共にしていたから書けたのだろう。
部分部分を読むと、”なるほど”というところがあるのですが
全部読むのは難しいので、パラパラ読んで返却という
ところでしょうか。


2022-05-23 14:00  nice!(0)  コメント(0) 

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