母の言葉 その3 [思い出]
母が亡くなって、はや10年経ちました。
晩年の母の認知症はかなり進んでいて、
会話もままならない状態が続いていました。
病院に入院したので、何回か面会に行ったのですが、
亡くなる3日ほど前の最後の面会に行った時のことです。
話しかけてもわかっているのかいないのか、という状態の時に、突然
母は私の手のひらを持って、自分の人差し指で何文字かの字を書きました。
わからないので、もう一度手のひらに書いてもらってもわからない。
仕方がないので、紙とボールペンを渡して、書いて!と言ったのですが、
書きたくなかったのか、紙に書くことはありませんでした。
亡くなったその後、ずっとそのことは忘れなくとも、
何を言いたかったのかと考えることは、しばらくありませんでした。
つい最近になって、そのことを想い出し、
書いた文字は、
「ありがとう」の5文字ではなかったのか、という思いにたどり着きました。
何でこんな簡単なことを気付かなかったのか・・。
ああその時に気付いていれば、という気持ちと、
気付いたとしても、その場で私が「ありがとう」って言えなかった、
のでは、という自責の念にとらわれてしまいます。
ただ、母もみんながいるところで言葉で言うのは恥ずかしいので、
指で書いたのかもしれない・・。
と思うと、
もう確認も感謝もできませんが、まあ似たもの母子なのかも。
2020-08-23 15:57
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