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「錦繍」と「真夏の犬」 [読書]

宮本輝さんの2冊。
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宮本さんは年が自分より少し上ですが、
昭和のニオイをプンプンさせる情景描写で
昔を思い出させてくれます。

「真夏の犬」は、「真夏の犬」を含めた9編の短編集です。
ところどころに出てくる昭和30年代頃の風景や、
家庭環境や家族も含めてよく書かれています。
「力道山の弟」に出てくる、力道山の弟のような
イカサマがはびこっていた時代。
この本とは関係ありませんが、昔 神社や行楽地に行くと
足がない傷痍軍人がいました。
本物もいたかもしれませんが、偽物もいたようです。
そういうのが許された時代でした。

「錦繍」(きんしゅう)は、事件後の当事者元夫婦が手紙を通して語り合う話。
生きるということ、死ぬということ、過去や現在の思いや
因果なのか、別れた二人に降りかかるさまざまな試練。
小説ですが、部分的には近いようなことが世の中で起こって
いるだろうし、自分の知らない世界はたくさんあるということでしょうか。
出だしのところから読む人の心をつかんで、最後まで
読ませてしまう。面白い本です。
人生いろいろ、誰にでも何かある、ということで
読む人を勇気づけてくれるような気もします。

また、宮本さんの本をたくさん読んでいるわけではありませんが、
どれにも女が出てきて、それはいいオンナだったり、
バツイチだったり、娼婦だったり、少女だったりします。
それも、過去の女として書かれていて、何とも言えない
ノスタルジーというか、後戻りできない昔のことなどを
想い出させてくれます。


2019-04-28 09:49  nice!(0)  コメント(0) 

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